Maki

タイラー・レイク -命の奪還-のMakiのネタバレレビュー・内容・結末

1.5

このレビューはネタバレを含みます

原題:Extraction/Out of the Fire
公開:2020年
鑑賞:Netflix

不満ばかり述べるなら載せなくても…と想いつつたまにスイッチが入って。ルッソ兄弟のMCU 4作品はどれも胸を熱くさせられたのに このオリジナル作品にはがっかり。中盤で「あ…だめだこりゃ」ってなっちゃった。




▼ ▼ ▼ ネタバレあり ▼ ▼ ▼




●満足
アクション演出とゴツゴツ痛みの伝わる格闘の数々には目を見張る。カーチェイスでの車内車外遠近シームレスに行き来するカメラワークも新鮮。監督自ら危険な撮影をするメイキングも凄かった。
民間人でも邪魔なら突き飛ばす。子供でも敵なら殴り飛ばすクリス・ヘムズワースの肉体所作の説得力。
初見のゴルシフテ・ファラハニはとても美しくて華がある。
 
●あとは不満だらけ
ざっと見渡すと皆さん好評なので私の眼が曇ってるのか。とにかくお話もっと練り込んでと云いたい。ジョン・ウィックやアトミック・ブロンド系のやや現実離れした世界設計ならまだしも。使い古されたありがちネタ満載で組み合わせもキャラクターの心情も粗雑。助けに来たけど敵でした。敵だったけどいい奴でした。死んだけど生きてました。そんなん脈絡も溜めもなく描かれても醒めるしかない。

愛息を亡くして希死念慮に囚われている傭兵タイラー。ビジネスで救出した麻薬王オヴィの息子オヴィ(ややこしい)になぜか情が沸く不思議。家族や自分のことぺらぺら話しながら泣く。つられてオヴィも泣く。お互い父や子を重ねるに無理があるのにあっさり疑似親子。参上したホッパー署長(またの名を旧友ギャスパー)が裏切り暴れて即退場。妻子を狙われ仕方なくオヴィを追いかけたサジュも電話しながら泣く。そのあとすんなりタイラーと手を組む。意味ありげだったサジュの妻子はフェードアウト。真剣に演じている俳優陣が可哀そうになってきた。

警察とバングラディシュSWATまで手下に置く麻薬王アミール。権力ありすぎる男が少年ひとりを追いまわす。ろくな作戦もないSWATがヤラれ役としてわらわら沸いてなんのために死んでゆくの。対抗勢力の息子オヴィの父親麻薬王オヴィ(ややこしい)は存在感が薄すぎる。パワーバランスが成り立ってない。

誰かマイケル・マン先生を呼んできて。
橋上の激戦ではサジュが特殊部隊用MP5SD5(サプレッサー装備)をバッゴンバッゴン鳴らす違和感。もっと「タタタタタッ」「カカカカカッ」とか抑えて。発砲音で盛り上げたいなら違う銃を選べばいいのに。
アミールに命令受けたおじさん(SWATの偉い奴)がいきなり凄腕スナイパー化してて笑う。なんも訓練していないアミール手下少年は混沌の銃撃戦に混じって的確にタイラーに致命傷を与える天才ぶり。RPGとFN SCARを使いわける傭兵ニックの佇まいは素敵だけど タイラーが撃たれたら 状況収束もしていないうちにだらんと銃おろして呆然としてるゆるふわっぷりがありえない。

そのニックがトイレでアミールを殺したのはタイラーや仲間の復讐?仕事じゃなくて?

ラスト。オヴィが「水の底」から「水面」に顔をだしたら彼の姿が!ってこんなぐだぐだのあとでは歓びも驚きも得られない。脚本では川に落ちて死んだタイラー。関係者試写後に付け足したシーンだそうで。

ルッソ兄弟のMCU 4作品は知れ渡った有名キャラとケヴィン・ファイギ筆頭の強力布陣に支えられて為し得たものだから単純比較はできない。けれどもルッソ兄弟が自信と矜持をもっているのか訝しく感じる。



https://eiga.com/news/20200506/7/

続編制作決定なのね。三要素(アクション。タイラー。ニック)は優れているから 続編でちゃんと再設計と再考証してくれたら嬉しいな。
Maki

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