なべ

タイラー・レイク -命の奪還-のなべのレビュー・感想・評価

3.6
 これが目的でネトフリに加入した人がどっと増えたらしいけど、本当かよと半信半疑だった。ルッソ兄弟やクリス・ヘムズワースにそこまでの神通力があるとはとても思えず、今まで後回しにしてた。

へー、案外おもしろいじゃん。

 ストーリーはもうこれ以上削れないってくらいシンプル。傭兵による人質救出。以上w
 話を無理に広げようとしないルッソ兄弟の潔さが気持ちいい。そりゃ話のおもしろさより、アクションで狙いに行った方めんどくさくないし、成功率も高そうだし。そう、ぶっちゃけ中身はないのだ。でも敵味方双方のキャラの肉付けがいい具合になされているから、ほどよく感情移入はできる(子供を失った喪失感とか、死にたい症候群とか今どきそれか!って思うけど、まあその程度の味付け設定ってことで、そこは寛容になった方が楽しめますよ!)。ジョン・ウィックの成功を受けて自信をつけたのだろうか、今どきの消費型視聴に適したバカ映画。だが、そうは悟られないように展開はスピーディに、情緒を加味しながら話はコンパクトにまとめられている。このギュッと凝縮された感じは「山猫は眠らない」なんかと通じるものがあるよな。ムードの基礎となる男臭さと強靭な精神力と卓越したスキルってところも同じだ。こりゃくどいほどシリーズ化されそう。
 ドラマパートが若干テレビ映画くさい(つまり雑なんだ)けど、その分アクションはとても見応えあるからまあ問題なし。スローとか使わないし、何がどうなってるのか見通しのいい見せ方も好感が持てる。動作が速いのによくわかるアクションは自信がないとできないから。サイドアームの使い方なんて超カッコよくて痺れたわ。
 痛みを伴う傷がひとつ増えるごとに応援に力がこもる。これは演出というよりクリス・ヘムズワース由来のものなのかな。
 マイティソーの時は気づかなかったが、クリスって時々すごく間の抜けた顔に見えるのな。その気の抜けた顔がタイラーの生き様に味わい深さをもたらしていて、あー、こういうところがこの人の味なのかと再評価できた。最後までソーのイメージがタイラーに被ることはなかったのも意外だった。
 タイラーへのダメージの与え方は最後の最後まで容赦なく、そりゃもうどんどんHPが減っていく。文字通り満身創痍。かなりヤバい状況。おいおい、ここまでキャラをつくっといて、続編をつくる気がないとか本気かよ⁉︎って思っちゃった。
 どんなミラクルが起こったのかは謎すぎるけど、一応続編のへの期待が高まる終わり方だった。
なべ

なべ