NUZOO

DAU. 退行のNUZOOのレビュー・感想・評価

DAU. 退行(2020年製作の映画)
4.0
この映画を正当に評価できる知識を持ち合わせてなくて途中ずっと困惑してたけど、観終わってみれば面白かった。

60年代末からのモスクワの研究所で起こる堕落と粛正のせめぎ合いのドラマ。
ありえない規模で作られた映画という前評判どおり、建築、美術、衣装などディティールの作り込みはちゃちさが一切ない。その上で淡々と延々とどうでもいいような人間模様が映される。
演技も自然だし、手持ちカメラを動かしながら淡々と撮るのでドキュメンタリーのような臨場感があった。

そんな4〜5時間を猛烈な眠気と過ごしたあとでも、観てて気持ち悪くなったほどおぞましいクライマックスの9章で一気に盛り上がる。
肉体的に充実した若い男たち特有の暴力的なノリが画面に満ちていてきつかったし、あの空気の再現度が非常に高い。女たちが反論する中、大人の男たちが抵抗できず何も言わずにそれを見てる構図もまた虚しい。

目を背けたくなるくらいきつい映画だったけどその場面が一番映画としては面白かった。
NUZOO

NUZOO