完全な実験映画。
あの古典SFの名作であるオラフ・ステープルドンの「最後にして最初の人類」と題名はついているが、別物と思ったほうがいいだろう。
一般人は避けて通ったほうがいいという作品だ。
一番興味が湧いたのが、いったいどのような過程で今作が制作されたかだ。
勿論普通に「映画」商品として製作されたわけはなく、実験的芸術作品としてだろう。
調べてみると、ヨハン監督の没後に
「本作は、2018年2月9日に急逝した彼が生前に取り組んでいた初長編監督作にして遺作となった映像詩。仲間たちの尽力によって2020年に完成。」
とある。
最初からこの完成形を目指したのかさえ不確か。
作曲家が自分の曲に映像を付けたというのならまだ分かる。なぜ「最後にして最初の人類」なのかが理解できない。
それも小説後半を上辺だけ舐めたようなナレーション。
これならいっそ音楽と映像だけの方がまだ潔いというものだ。
環境映像がわりに流しておくか、眠れない時に睡眠薬がわりに見ると許せる作品。
SFファンは題名に釣られないようにしたほうがいいだろう。
余談。
名作古典SFといえども、1930年に書かれたもので、さすがにSFとしてはすでに賞味期限が切れていると言っていいだろう。
20億年後の人類ってのがもう・・・・
5億年前に海で多様な生物が発生したんだよ。それから人間になるのにたったの5億年だ。
今から20憶年って、もう生物なんかとっくに卒業してるでしょ、人類。笑
まぁ、とんでもない未来を小説に書くってのは、よほど気合を入れないと笑い話になってしまう。
個人的には「地球の一番長い午後」の未来描写は好きだな。アミガサダケのアイディアには度肝を抜かれたっけ。