ホロコーストを奇跡的に生き延びた1人の男の実話に基づくお話。
知りもしない"ペルシャ語"を、創作して教える。毎日がまさに必死、1つ間違えれば即死につながる緊張感。
創作した単語を忘れないように選んだのは、忘れたくても忘れられないもの「名前」。
当たり前のように人が人として扱われず死んでいくなか、その名前達がジルを助け続けた。
大尉にとっては大勢の中でジルだけが人間だった。「美しい響きだ」と言ったその単語が、その数が、ジルや自分と同じ人間だったということに気付けなかった事が大尉の最大の罪だったんだろう。
映画として観ていると、主人公に友好的な大尉があんまり悪い奴には見えなくなってくるんだけど、言葉達は決して大尉を許さなかった。
最後、ジルが自分を助けてくれた人たちを挙げるシーンでは涙が止まらなくなった。
エンドロール途中で音楽が終わり文字だけが流れるなか、誰1人言葉を発せず身動ぎもせず、皆がただ身に染み込ませるように静かに余韻を味わっていて、この映画の素晴らしさを象徴しているようだった。