ホアキン・フェニックスがエグゼクティブ・プロデューサーに名乗りをあげ、"最も革新的なドキュメンタリー作家"と称される、ヴィクトル・コサコフスキー監督による、納屋から生まれたモノクロの映像美。
予告を観た時から惹きつけられていた。
BGMは
風の音
虫の声
白と黒だけで描かれる動物達の世界。
母豚GUNDAの周りで蠢く10匹程の仔豚
"ピー"とか"キー"とか鳴いている。
母豚の鳴き声は地響きの様に響いている。
とにかく我先にと乳首に喰らいつく仔豚達。
生きる
生きる
生きる
生命力の躍動感に圧倒される。
片足だけの鶏。
飛べやしないけど、ほんの少しジャンプする時の羽ばたきは力強い。
フェンスの向こう側に行きたそうだけど、
その小さな四角の中にあなたの身体は入らない。
牛達の群れ。
それぞれの顔を映し出すショットは肖像画のよう。
例外なく、皆んなの顔の周りに羽虫が集(たか)っている。互いに頭を逆向きに横並びになり、尻尾で相手の顔の虫を払ってあげる。
仔豚達も随分大きくなった頃、
大きな車輪が映し出され
母豚だけが残された。
何が起きたのか、一瞬ではわからなかったけど、やはり地響きのような鳴き声を発しながら右往左往する母豚。
そうか。そういう事か。
切ない。
五感をフルに研ぎ澄ませて観るべき作品。