ピちゃん

砕け散るところを見せてあげるのピちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

出逢えてよかったと思えるほど素晴らしい作品なんだけど、とっても惜しい、惜しすぎる。あと一歩。もう少しで完璧だっただけに悔しいと感じた。

最初は、青春ロマンス?のような感じ。いじめられっ子とそれを助ける王子様の構図はまさに少女漫画的。タイトルからして、そんなストーリーで終わるワケないと予想していたから、こっからどうなるの?とワクワクした。冒頭と後半部分は良かったものの、前半に無駄なシーンが多すぎる。そして、ラストは雑すぎる。前半のトイレに閉じ込められてるシーンやどうでもいいおしるこのシーンが長すぎてイライラした。その分、事件後のラストや、清澄と田丸の関係、尾崎の妹がこれまで玻璃とどのように接してきたかをもっと丁寧に描いて欲しかった。

この作品、予告を前情報も全く見ていなかった。何か事件が起こることは予想していたものの、全くの想定外の展開だった。衝撃の連続。自転車を2人乗りするシーンで体が震えて涙が溢れた。言葉で上手く言い表せないけど、初めて2人の心が通じ合ってる気がした。その後押し寄せる絶望と恐怖。心が疲弊したわ。

清澄が、
俺は孤独だっただけで攻撃を受けた被害者ではなかった。俺は自分でも驚くぐらいに案外あっさりと救われた。
と言うセリフ。すごく分かる。私も孤独を感じた時、自分を被害者だと思ってしまう。だって自分が孤独であることを認めたら、自分の存在が分からなくなってしまうから。自分を、誰かによって疎外された被害者だと思えば、他者と自分の間に繋がりを感じて、自分の存在を認識できるの。落ち着くんだよ。ずっとそうやって自分に言い聞かせてきた。でも、そんな孤独から抜け出すのは本当にあっさりしてる。たった一言。それだけで、世界が変わる。信じられないくらいに悩みが一瞬で吹き飛ぶ。被害者面していた自分を愚かしいと思う程に。

清澄が田丸に孤独を救われたように、清澄は玻璃を救ったね。田丸のセリフ。
俺がいる方を選べよ。おまえがいねえと、俺つまんねえよ。
とても素敵。いつも深く追求せずに見守ってくれる彼の姿に感銘を受けた。清澄にとって田丸の存在は大きかっただろうな。彼らの素敵な友情に胸を打たれる。