けまろう

ありあまるごちそうのけまろうのネタバレレビュー・内容・結末

ありあまるごちそう(2005年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

『ありあまるこちそう』鑑賞。フードロス問題を中心に扱った作品。『フードインク』同様、大量生産・大量消費の工業化された食品業界の負の側面に焦点を当てている。質より量、なのに世界に食料品は行き渡らず、飢餓状態の人々が大勢いるという矛盾した状態。例えば、EUは農家に多額の補助金を出しているため、彼らの作物は不当廉売価格が可能になる。その結果どうなるかというと、農家に補助金が出ていない国における農業の崩壊を誘引するかもしれないというのだ。セネガルでは賃金が低いはずのセネガル産の野菜よりも欧州産の野菜の方が遥かに低い金額で売られているという。結果、国内での農業が育たず、国内が豊かになるのが難しくなってしまう。ほかにも、漁業にも効率化を求めた結果大型漁船の数が増え、結果として小型漁船が排除されているという事実も。大型漁船は遠洋に出て漁獲高を長期間保持する必要がある一方品質が損なわれてしまう。こうした食材の低品質化も現代食糧問題のひとつとして挙げられる。
印象的なのはネスレCEOが語る言葉。水を食料品だと唱え民営化することで新たな利権の創出しようとする飽くなき資本主義の代弁。そして、従業員やその家族を守るために利益を最大化することの正当性を訴える一方で、無人化される日本の工場を得意げに説明するあきれた矛盾。やはりドキュメンタリーは面白い。
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