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花嫁吸血魔のhorahukiのレビュー・感想・評価

花嫁吸血魔(1960年製作の映画)
3.6
吸血鬼のビジュアルイメージを根底から覆す衝撃!!

紫綬褒章を受けた大女優 池内淳子が毛むくじゃらのオッサンみたいな姿になって襲ってくる吸血鬼映画です。変身後もしっかりと本人が演じてるらしく、どう考えても小汚いオッサンにしか見えないビジュアルはファンでなくても一見の価値あり!

池内淳子演じる主人公のフジコが極光映画の主演に抜擢され、その代わりに降板させられた女1とフジコにゾッコンな男×2にフラれた女2と女3の3人組がフジコを恨んでピクニック先で崖から突き落としてしまう。そのせいで顔に大怪我を負い映画から降板してしまったフジコ。フジコの親は同時期に借金苦で自殺。全てを失ったフジコが頼った唯一の肉親である曽祖母はなんと呪術師で、吸血鬼にさせられたフジコがクソ女3人組に復讐を始めるよって感じのお話。

女3人組も相当クソなんだけど、フジコの方が美人だからって理由で自分の彼女を当たり前のようにサラッと振っちゃう男×2も復讐されるべきな気がするんだけど…。

この男のうちの1人とフジコが両想いになって婚約するんだけど、フジコの前では優しい感じで敬語+下手で振る舞う男だけど、小売店の店員に上からな態度で接してんのがまたムカつく。時代的なのもあるんだろうけど、そういうの嫌いなんだわ。しかもさしてイケメンでもないし。そんでもう1人の男は「俺は醜女が大嫌いなんだ!!」とサラッと相手に言い放つクズ男。この映画クソしかおらんね。

照明の変化?でカットを割らずに顔に傷を作り出すのは凄いと思うけど、あんまり上手くはなくてバーヴァの『血ぬられた墓標』とか『吸血鬼』がいかにうまかったのか良くわかる。でも、次第に毛むくじゃらの化物へと姿を変えるシーンは『狼男アメリカン』の20年以上前なことを考えると驚きの技術だと思いました。

自分を虐げ追い詰めた現実に対する死後・イマジネーションの世界からのカウンターという点では間違いなく怪談なんだけど、そこにアンビバレントな感情が悲劇性を増す結果となるのが変わったところですかね。

顔の傷という点では『四谷怪談』からの影響が間違いなくあるのだろうけど、それ以上にカリスたんでお馴染みなミイラシリーズから影響を受けてるだろう箇所があるのが私的に嬉しかったです。あれは間違いなく『執念のミイラ』と『ミイラの幽霊』。

そんなに大した作品じゃないような気もするけど、なんやかんやで面白かったです。おそらく蝙蝠をベースに狼男要素を強めに足したのであろう吸血魔のだっさい見た目は必見です♫
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