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リトル・ガールのmarikabraunのレビュー・感想・評価

リトル・ガール(2020年製作の映画)
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これは闘いの記録、愛の記録だ。日本より多様なセクシャリティへの周知が進んでいると思われるフランスですら、出生時に振り分けられた性と自認する性が違う子供サシャとその家族への周囲の対応は厳しく、無理解と闘う当事者たちの苦難は計り知れない。鑑賞後にドキュメンタリーだと知って気持ちを更に持っていかれる。
救いとなるのはとにかく温かい家族の存在で、特に母親の献身的な働きがあってこそ彼女はひとつの自由を獲得したと言える。バレエ教室で男性用の衣装をあてがわれた時より、好きな服に身を包んだサシャがあまりに軽やかに生き生きと踊るので、その姿にうるっときてしまう。
だけど、本人にとっては当然の権利をまず家族が尊重してくれるか、真摯に向き合ってくれるか、学校や友達などが理解ある環境に身をおけるか、知識と良識があり不安を取り除いてくれる専門家に出会えるか、そんなくじ引きみたいなもので人生がねじ曲がってしまう人も大勢いるんだろう。間違っているのはこの社会だ。たった7歳の女の子に頑張っても無駄、なんて言わせない社会に早く、早く変わって欲しい。その為には誰もが部外者ではないということを理解しなければならない。
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