MasaichiYaguchi

リトル・ガールのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

リトル・ガール(2020年製作の映画)
3.9
このドキュメンタリーに登場する男の子の身体に生まれ、女の子になることを夢見ている7歳のキュートなサシャを見ていると、多様性の容認と包容性が如何に社会にとって必要不可欠であるかが、幼い女の子が負った心の傷に対する切なさと共に痛感してしまう。
本作は、そんなサシャの幸せを守るために奔走する母親と家族の譲れない戦いを通して、幼少期のトランス・アイデンティティの課題を捉えていく。
ポスターやフライヤーの写真を見れば分かるように、予備知識が無ければ額面通りに女の子だと思う人が大半だと思う。
性同一性障害は、生物学的には女性でも「自分は本当は男として生きるべきだ」と認識したり、生物学的には男性でありながら「自分は女性として生きるのが相応しい」と考えてしまう。
本作のサシャは正に後者に該当する訳だが、未だ社会が性同一性障害についての理解が進んでいないこともあり、学校生活等で差別や偏見に遭ってしまう。
本作のセバスチャン・リフシッツ監督は、「性と身体の不一致は肉体が成長する思春期に起こるのではなく幼少期で自覚される」ということについて取材をしている時にサシャの母親カリーヌに出会い、本作が誕生したとのこと。
この映画は2020年ベルリン国際映画祭で上映後、モントリオール国際ドキュメンタリー映画祭ピープルズ・チョイス賞やインサイド・アウトLGBT映画祭観客賞など、世界中で様々な映画賞を受賞している。
サシャの忍耐強さと母親を中心とした奮闘で、果たして周囲の人々に性同一性障害を理解してもらえるのか?
本作からは、ダイバーシティを実現するには、垣根を取り払う努力を粘り強く続けることが大事ということが伝わります。