kuro

大怪獣のあとしまつのkuroのネタバレレビュー・内容・結末

大怪獣のあとしまつ(2022年製作の映画)
1.7

このレビューはネタバレを含みます

怪獣の死体処理の話は,これまでにもネタにされていたりするし,特撮好きが飛びつく話だし,それを全国300館以上で上映する作品となれば事前期待は高まる。そこまでは企画したプロデューサーの狙い通り。
ただし,三木聡脚本・監督でコメディにしたところがプロデューサーの間違い。序盤で光と「デウス・エクス・マキナ」でネタばらししてしまっている。基本的に現場はシリアスで,内閣側はコメディなのだが,まずコメディが笑えない。単なる下ネタやどうでもいいフレーズをつぶやくだけで,前代未聞の事態に直面して政府としてなにを決めるかという前提がまったく活かされておらず,ポリティカルコメディどころかまったくコメディになっていない。役者たちの一発ネタを見せつけられるだけ。
現場もシリアスで貫くには,国防軍と特務隊との主導権争いや内閣と特務隊との間に挟まる天音夫婦がでしゃばって邪魔。特に天音ユキノが勤勉なバカ役+未練がましくアラタにまとわりつく役なのでシリアスになれない。キスシーンはモブ同士を含めて全くいらない。
コメディになれず,シリアスになれず,恋愛モノにもなれないまま終わってしまった。しかもエンドロールが終わったあとのCパートで「製作費半額で続編」とのおまけつき。この手の言い訳めいたおちゃらけを含めて三木聡ともいえるが,それは深夜ドラマなら受け居られても笑えない映画2時間の後では逆効果。
松竹と東映の共同製作・配給で全国300館以上での上映という製作側のスケールに対して制作の内容(特にストーリー)が言い訳まがいのしょぼさ。シネマ・ロサの単館上映なら観客に受け入れられるかもしれないが,全国の怪獣映画ファンには受け入れられない。
特務隊隊長として,現場と内閣との板挟みになっていた眞島秀和の抑制の効いた演技はよかったし,それ以外の役者も与えられた役割を果たしていたので罪はない。
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