ノラネコの呑んで観るシネマ

キャンディマンのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

キャンディマン(2021年製作の映画)
4.3
リメイクかと思ったら、92年版の続編だった。
もっとも、物語としては独立してるので、前作観てなくても問題は無い。
鏡を覗いて5回名前を言うと現れて、右手の鉤爪で召喚者を殺すキャンディマンは、白人に虐殺された黒人の幽霊。
なるほど、ジョーダン・ピールが目をつける訳だ。
英国人のバーナード・ローズによる前作も、米国の人種差別への批判がベースにあったが、今回はキャンディマンとは抑圧の歴史の象徴であって、1890年に殺された初代以来、世代を超えて何人もいることが明らかになる。
差別と偏見によって理不尽に殺されるのは、今も昔も同じという訳だ。
ピールの脚本は、結構時間をかけて背景を描いていて、序盤はこの手のスラッシャーホラーとしてはスローテンポ。
しかし描写自体は容赦無く、一旦怪異が起こり始めると、恐怖が登場人物たちを追い込んでゆく。
旧作のレガシーもうまく使って、百年以上に渡る負の連鎖を上手く表現している。
共同脚本も書いてる監督のニア・ダコスタは、キャプテン・マーベルの二作目「The Marvels」の監督に決まってるが、なかなかムーディで堅実な演出で魅せる。
それにしても、長編3本目でマーベルの超大作に抜擢って凄えな。
ジャオと言い、ハリウッドの先物買いのリサーチ力はまさに世界最強だな。
ブログ記事:
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