結局カレー

望みの結局カレーのレビュー・感想・評価

望み(2020年製作の映画)
3.3
殺人事件に関わったとみられる消息不明の息子は一体罪を犯してしまったのか、あるいは共に命を奪われてしまったのか。どちらかを望めば息子の命か信念を信じないのと同然で、どっちを望むかなんてとても答えられなかった。

事態がわからないまま外野の声だけどんどん多くなっていき、「息子が人を殺したとは思えない」「息子に生きていてほしい」そんな当たり前の思いすら口にすることが憚られる窮地に追いやられていく様に胸が苦しくなる。世間は真相がハッキリしていなくとも、あがった煙にたかって広げて荒らしてく。そこに火がなければ立ち去るだけの話で改めてクソだと思うけど、自分その世間の1人であることを自覚したい。

追い込まれていく家族のやつれ様は痛々しく、妹の言葉は冷たく聞こえても間違った思いじゃなくて。そんな絶望的な中で引き出しに閉まってあった切り出しナイフや本に挟まれていたメモが揺らいでいた信じる気持ちを確固たるものにさせて泣いた。あぁなんで信じてやれなかったんだ、そうだよなって台詞にはなかったけどそう聞こえた。

運命共同体である家族の信用と責任、そして愛の話だった。