建築士の石川一登は妻 貴代美、息子 規士、娘 雅と暮らしている。息子の規士は怪我でサッカーを辞めてから夜遊びや無断外泊が増えていた。冬休みのある夜に家を出た規士は朝になっても家に帰らず、そのまま行方がわからなくなってしまう。間もなくして、規士の同級生が殺害された というニュースが舞い込んでくる。警察によると規士が事件に関与した可能性が高く、さらにもう1人被害者がいる恐れがあるという。
息子は加害者なのか、被害者なのか。
加害者家族、被害者家族、どちらにも果てしない苦しみがあると思うし、本作ではそのどちらの可能性もある という状況下にあります。どちらに転んでも苦しいですが、わからない というのもめちゃくちゃ苦しいですね。
この苦しみや悲しみを描いているのですが、展開がサスペンスフルになっており、メインは真相はどうなのか という部分に焦点を置いているような気がしました。これはこれで釘付けにはなるのですが、やはり人間ドラマをメインにした方がより濃いものになっていたと思いました。ただそうなると、さらに観るのが辛くなっちゃうと思うので、まだ観やすい仕上がりになっていたんじゃないかと思います。
サスペンスフルにしていますが、事件の真相はまぁ予想範囲内なものとなっています。この真相の展開も前述の観やすい感じも、邦画らしいなぁと思いました。
加害者か被害者かわからない中で、マスコミや世間は家族の気持ちも考えずに、傷口に塩を塗ってきます。これがまぁ腹立たしいです。この描き方は、そういったことの啓発をしている感が出ていました。
苦しみや悲しみは非常に痛々しく、ストレスフルな作品でしたが、サスペンスフルな展開のため興味は消えなくて、映画としてはおもしろいものだったと思いました。ただ、この材料だったら、もっと濃く、深く、辛く描けたとは思いますが、そうなっていたら耐えれるか心配です(笑)。