SU

望みのSUのレビュー・感想・評価

望み(2020年製作の映画)
4.5
当たり外れの大きい堤幸彦監督作という点であまり期待を持たずにみたら、キャリアから考えてもベストに挙げても良い程の傑作だった。
役者陣のスキルがないと成立しないような、難しい状況をリアルに、そして緊迫感いっぱいの演出でまとめ上げた監督の手腕は流石。
マスコミやネットなど現代社会が抱えるもんな点を炙り出しながら、疑惑の中で誰もが羨むような理想的な家族が、静か壊れていく様を容赦なく描く。
例え人に手をかけるような悪人でも、とにかく生きてほしいと願う母親と、悪事に手を染めるような息子ではないから被害者側なのではないかと考える父親。どちらの気持ちも親の立場なら理解できる複雑な心境を見事に表している作品の完成度の高さに唸る。
憶測だけで一人歩きする噂から世間に追いつめられながらも、僅かな望みを持ち息子の帰りを待つ家族が迎える結末に震える。
特に竜雷太の名演には泣かされた。
SU

SU