映画好きの柴犬

ドント・ルック・アップの映画好きの柴犬のレビュー・感想・評価

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)
4.2
最高に面白く、最悪に絶望的

 天文学者のミンディ博士(レオナルド・ディカプリオ)とディビアスキー(ジェニファー・ローレンス)は地球との衝突コースにある彗星を発見。米国大統領(メリル・ストリープ)やメディアに警告を発するが、事態は思わぬ方向に進んでいく。

 「マネー・ショート」や「バイス」の実録もの社会風刺劇のアダム・マッケイ監督が、その批判精神そのままに、フィクションでやりたい放題。

 環境破壊の象徴たる巨大彗星と、支持率しか頭にない大統領、金儲けしか頭にないIT企業CEO、視聴率しか頭にないキャスターと、ある意味記号化されたキャラクターたちを通して、分断された現代社会を痛烈に皮肉る。

 ストーリー展開もテンポ良くて、エンターテイメントとしては最高に面白いが、ここまでカリカチュアされてしまうと、大統領やCEOやキャスターに踊らされている大勢の人に、人事でないメッセージとして伝わるか、一抹の不安が残る。