とある天文学者とその教え子は、地球に衝突する恐れがある彗星を発見するが…というお話
彗星が衝突するまでの猶予は半年、我らが大統領に直談判する機会を得るも目前に迫った選挙と票勘定のことしか考えていないから何も伝わらないし、かといってニュース番組に出たところでそんな真面目で恐い話はこの番組にそぐわないよなんて言われる始末
だって半年も先のことなんて考えていられないし間近に迫った死の恐れに震えたって仕方がないから「現実から目を背けようぜ」という意味での『ドント・ルック・アップ』
素晴らしいタイトルだし、それに相応しいほど素晴らしい面白さでした
皮肉と風刺で満ちみちた狂騒曲、政治家はいつだって票のことしか考えていないし、ベンチャー企業のCEOはいつだって金儲けのことしか考えていない、ゴリゴリの愛国主義者は『アルマゲドン』的な自己犠牲で地球を発つはずが急遽地球に連れ戻され、いつでもだれでも一番大切なことから目を背けながら右往左往するのさ
決してヒーローはいないけれども、「真摯に」生きた彼らだけが辿りつける境地こそハッピーエンド、すべての顛末がかみ合う素晴らしい作品でした
