これまた掘り出し物。良い作品に出会えた。
主要キャストはこれからの活躍が期待されている(のだろう)若手2人と、ベテランの名優が2人。ストーリーもさることながら、それぞれが対峙するシーンも見応えがあった。
まずはサスペンスとしての良さ。
主人公が犯人でない証拠はあるのに、それが盗撮カメラであることから言うに言えないもどかしさ。
同時に、いくつもの盗撮カメラがあるのに真犯人の顔が写っていないというもどかしさ。
一方で、アスペルガー症候群である彼が恋を知りときめき、そしてそれを失って傷つく。
彼と、彼が惹かれる女性がプールサイドで話し合うシーンは、穏やかで幸福なものであるにもかかわらず緊張感もあり、シーンが移った時にホッと息を吐いた。
しかし彼はそうして傷つく事で、自室にこもって盗撮カメラ越しに人を見るだけの生活(彼はそうして人間観察をして、少しでも良くコミュニケーションが取れるようにする努力家でもある)から殻を破り、母と食卓を共にするようになったり外に出るようになったりと成長する。
そんな彼を支え続けた、一見過保護な母との描き方も素晴らしい。
主人公を追う刑事がジョン・レグイザモ。母との対峙、アスペルガーの主人公に対し、理解しようと誠実に対応するさまなど、やはりカッコいい。
サスペンスと1人の人間の成長を混ぜこぜにしながら進み、そして単なるハッピーエンドとは一味違うラスト。
良い作品を観れました。
