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ナイト・ウォッチャーの03のレビュー・感想・評価

ナイト・ウォッチャー(2020年製作の映画)
3.2
結構好きかも。
アスペルガーの主人公と聞くとシンプルシモン、障害を持つ息子が事件に巻き込まれるで母なる証明をそれぞれ思い出してしまったのだけど、結局どっちにも振り切れない感じがあって、悪くいうと口当たり良いように色々削ぎ落としましたという感じ?
主人公はコミュニケーションに少々難ありなもののまあ理解者はいるし、例えば決まったこと以外でパニックになるみたいな、日常を送る上での不便なこともないし、ギリちょっと変わった人くらいな感じで、話自体も軽くて深刻さも無い。
ただそれがなんかこう、理由付けとして機能してるというか、この人はこういう人だからこの行為をしています、みたいな、ある意味舞台装置ではないけど、単純にこの話のこの理由を導くためにこのキャラ付けがなされてますみたいなとこがあって、個人的にはその単純さが気持ちがよくて好きなんだよなー。
主人公のぷわっとした浮世離れしたかわいらしさが、映画の持ち味とあってるのかもしれない。自分がコミュニケーションに難ありな人間だとわかっているから、読んだ資料や文献、聞いた言葉を膨大にインプットして、適当と思われるタイミングで切り出すという手法を使っていて、だからいつもどこかで聞いた誰かの言葉を話しているのだけど、ラストは自分の言葉で手紙を書いたのかなあと、そうだったらいいなと思った。
上映時間が短くて小粒なのも中だるみがなくて良いし、深夜のホテルや家の内装なんかがどこかレトロで可愛らしいし、話も浮遊感がありつつ重苦しさがなくて見やすいし、細かいことを気にしなければ、ありまくる粗を補ってなお好きという人は結構いるんじゃないかな。ただしポスターのイメージとは全然違う。もっとアート系のポスターにすると、需要がマッチしそうだなと思った。
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