幽斎

YUMMY ヤミーの幽斎のレビュー・感想・評価

YUMMY ヤミー(2019年製作の映画)
4.0
希少品種ベルギー産ゾンビ映画。ベルギー映画は発祥時からフランスの影響を多大に享けた。Lumière兄弟がシネマトグラフィを発明して直ぐに、アニメーションの技法を考案したのがベルギー人Joseph Plateau。プラトーの定理で知られる物理学者で、彼のストロボスコープで映画は娯楽産業へと進化を遂げる。決してチョコレートやワッフルだけじゃ無い。

フランス影響下の為、ホラーは最低ランクのジャンク扱い。私の専門ミステリーで言えば世界に誇る作家Georges Simenon、彼のジュール・メグレ警部シリーズは、推理小説に詳しくない方でも認知度が高い作品。映画もレビュー済「ロフト.」「アンノウン・ボディーズ」傑出したスリラー映画を輩出するが、低予算で面白い作品が作れる素養が有るにも関わらず、ベルギーはホラー映画の不毛の地、本作は先駆けと言える。

ベルギー王国はEUやNATO本部が置かれる、ヨーロッパの中心地。周囲の列強の緩衝中立、ボーダーラインの国として建国された。なぜ大国に囲まれても飲み込まれないか?、それはベルギー人の気質に有る。ベルギーの留学生を見ても、争いを好まず大らかな性格の人が多い。マインド的にも人は人と割り切って考える事が上手いので、他人を気にしない為、諍いも起きない。注意したいのは事実婚が多い国で「コハビタションレガル」と言う制度まで有る、ベルギー人とのワンナイトラブは割り切りが肝要です。

原題「yummy」英語で直訳すると「美味しい」他にも「delicious」「tasty」「good」も同じ意味合いですが、少しカジュアルにI want to eat a lot of yummy sweets.とか言いますが、幼児向けの意味も有り大人が使う機会は少ない。スラングとしてはI want to date with that yummy girl.の様に性的な魅力が有る時に使う。気心の知れた仲間内の言葉で、初対面の人や、目上の方には使わない。

ホラー映画の歴史が浅い為、プロットはゾンビ映画の王道。舞台が美容整形外科と言う新味は有るが、ハリウッドで流行るジャンルミックスも無く、プロットに捻りも無い。但しベルギー人気質が炸裂するのがブラックなユーモア。ベルギー人は争い事が嫌いな反面、裏で何言ってるか分らない。日本も元首都の方は裏表が有るそうだが”笑”、ベルギー人から見れば大いに笑える演出、だからホラーに徹し切れない。

人物描写は意外としっかり、フランス映画の様な胡散臭さも無い。ベルギーは「ホラー映画は痛い場面を沢山出せば良いのだ」と思ってる節が有り、病院と言う設定をイイ事に考え付く限りの人体損壊を見せてくれるが、それが清々しい程ブラックで「あのシーンは良かった」とニヤニヤしながら思い出す事間違い無し。オチも含めて徹底的に黒い笑いで押し通す、私はスリラー派なのでアベレージ4.0と辛めですが、最近のシャレオツで上品なゾンビ映画に辟易してるホラー・ファンなら4.4はイケるかも。

本作を観て思うのは人間とは「業の深い」生き者なのだと痛感させられる。美容整形を全否定するつもりは有りませんが、私自身が自身のモノを大きくしたいと思った事がない性か、増大手術を受けたオジサンに感情移入し難い。女性もそうなんですかね・・・ 私はオッパイ星人と言うより、スレンダーがタイプなので。因みに好きな女優は「松下奈緒」彼女のコンサートにも行きましたね、ゲゲゲの時に米子まで。スレンダーと言えば夏目ちゃん、結婚おめでとう!有吉さん、しっかり頼むよ"笑"。

1つだけ勉強に成ったのはアナルの美白が有る事。形成外科医の友人に聞くとアナルブリーチングなる美容法が有名らしい。あんまりアナルを攻めるのは好きじゃないなぁ~。攻められた事は有るけど"笑"。主演アリソン役Maaike Neuvilleが出演する「Weekend aan Zee」を見ましたが、なるほど服を脱げない訳だ”笑”。

悪趣味だけどスカッと爽やか。GODIVAカレダークの様なベルギー産ブラック・ホラー。
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