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スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話のjocxのレビュー・感想・評価

3.9
政府のマニュアルだけが正義のような、何処の国でもある事実を知ることになった作品であった。プロモーションではもっとコメディに近いと思っていたが、実際は想像以上に過酷な作品であった。もちろん、面白く描いているシーンもあったが、大半は介護の現実を描いている。自傷行為や暴力、徘徊や奇声奇行、問題がある度に呼び出され、その度にブリュノが対応する。介護される側もする側も神経を削って接している。人員不足を友人であり、カウンセラーのレダがドロップアウトした子供たちの支援とともに援助する。しかし、障害者の社会復帰や支援はとても難しい。そして何より親の苦労や孤独はいかばかりか。誰もやらないことをしているブリュノの民間施設を、資格がない、問題があると補佐するはずの政府が潰そうとする。不条理に泣いている施設はどれだけ多いのか、私の周りにも知らないだけでたくさんあるのかもしれない。これは知的障害の施設だけが問題でなく、さまざまな施設に当てはまる。母親の「自分が死んだらこの子はどうなるの?」の台詞が重く響く。もっと見てほしい映画である。
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