柏エシディシ

スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話の柏エシディシのレビュー・感想・評価

3.0
自閉症の子供たちをケアする団体「正義の声」の活動を描いた実話ベースの社会ドラマ。
邦題やポスタービジュアルの方向性は完全に間違っている。
一発逆転、気分爽快、感動物語。
そんな安易な映画に寄ることなく、誠実に題材と向き合った真っ直ぐなアプローチ。
たくさんの人に観て欲しい映画。
「最強のふたり」の監督コンビだから、もちろんユーモアを交えた視点はあるのだけれど、根底に確かに在る仁の心。
現実は、ハイめでたしめでたし、では決して終わらない。こういう人たちの日々の丁寧でたゆまぬ仕事が、なんとか心と命を繋ぎ止めている。
「自助」という言葉を政治家が宣う様な私たちの国も他人事には到底思えない問題。

行き場のない若者たちが、自閉症の人びとを助ける事によって、自身の居場所を見つける。
ユダヤ教徒のブルーノとイスラム教徒のマリクが助け合う。
共通の問題に取り組む事が、ある断絶を乗り越える鍵になり得るという事を静かに強くこの映画では描かれている。
これからの世界や私たちの国にとっても大きな事を教えてくれる物語だ。
柏エシディシ

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