けまろう

スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話のけまろうのネタバレレビュー・内容・結末

4.4

このレビューはネタバレを含みます

『スペシャルズ』観賞。ただただ素晴らしかった。『最強の二人』と同じ監督とは思えない超社会派の映画。フランス版ケン・ローチ。
善意で自閉症の子供たちを預かり社会に出ていくことをサポートする団体「正義の声」。代表のブリュノはユダヤ人で周りからの信頼も厚かった。しかし、「正義の声」には資格を持っていない職員も多く資金繰りにも切羽詰まっていた。ブリュノが初めて支援をし始めたジョゼフの就職もうまく決まらず、多忙を極めて結婚の話も進まず、文字通り身を粉にして施設の運営に尽くしていた。そんな中、役所の監査員に目をつけられることに。役所的には問題だらけのこの施設にメスが入るが、この施設を知っている人はブリュノの取組を絶賛する。そんな絶賛に耳を傾けず、重度の自閉症患者ヴァランタンの失踪をきっかけに更に詰め寄る役人。ずっと冷静だったブリュノの感情が溢れるシーンに胸を打たれる。大事に支援してきた子供たちの写真を役人に叩きつける、この子はなかなか眠らず手がかかる、引き取ってくれ、この子は暴れると大人数人で押さえつけなければならない、引き取ってくれ、と……。
ブリュノの善行は役所の基準に合わないだけで咎められなければならないのか、最後のエンディングに涙が止まらない。間違いなく今年ベスト10に入る作品。
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