ノラネコの呑んで観るシネマ

ブックセラーズのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

ブックセラーズ(2019年製作の映画)
4.0
世界最大規模のNYブックフェアからはじまって、希少本を扱うディーラー、コレクター、オークショニア、代々引き継がれてきた路面店の店主ら、深くて広い、書物の大洋に生きる人々を描くドキュメンタリー。
それぞれに書物の愛し方は違うが、共有している危機感は一つ。
グーテンベルク聖書から550年間変わらなかった書物の世界に、今デジタル化という革命が襲いかかる。
はたして、紙の本は無くなってしまうのか。
それに対して楽天的な意見も、悲壮な意見も。
面白かったのは、地下鉄で本を読んでるのは、皆若者という話。
特定の何かを読みたい時は、紙の方が使い勝手がいいのは確か。
少なくとも、希少価値に重きを置く、マニアな世界は確実に残りそう。
ところで、観ながら「騙し絵の牙」を思い出していた。
あの映画で松岡茉優が選択したのは、まさに本作に出てくる人々が欲しがるような、マニアな書物なんだよな。
形ある書物の未来は、やっぱりこの形なんだろうか。
とりあえず、神保町に本探しに行こう。