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空白の小のネタバレレビュー・内容・結末

空白(2021年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

すぐ怒る人(お父さん)と、怒れない人(スーパーの店長)の対立を描いた物語。自分を守るためコミュニケーションを断絶し、不都合に正面から向き合わないという点が共通しているけど、その方法が両極端。

(以下、ネタバレあり)

良い方向に向かうのはお父さんの方。あるきっかけにより自分を見つめ直し、他者を攻撃することで成り立っているアイデンティティがいい意味でぐらつき、自省するようになる。

一方、怒れない店長は、助言を受けコミュニケーションを試みたマスコミの裏切りによって、自分の殻に閉じこもっていく。

お父さんには、何故か彼を見捨てない若者がいて、プラスに働く。一方、店長に恋心を寄せるパートの中年女性が、代わりとばかりに怒り(ただし基準は彼女の「正義」)、行動するが、それが店長の怒りをますます抑圧する(店長は後に抑圧した怒りが限界に達し、爆発する)。

お父さんについては、おこりんぼの人が自分を改めていく『スリー・ビルボード』的な物語。しかし店長の姿には、何かと言えば、諦め、怒りを抑圧することに傾きがちなこの頃の風潮に対し、怒るべきときには怒った方が良いというメッセージを込めているのかも。
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