観終わったあと言葉にならない映画は久しぶりだった。
どういう計算か分からないけど、人が一生のうちに事故に遭う（引き起こす方含む）確率は35.8%らしい。
その事故が原因で悲しんだり苦しんだり絶望することになるのは被害者本人だけではない、ということになると、この悲劇に遭遇する確率はもっと上がるということになる。
何気ない日常の何気ない選択の連続がこんなに残酷な結果を生むのかね、いや、産むこともあるんだろうな…。あまりにも全てがリアルだった。
現実世界に正しいとか正しくないとか正義とか悪とかそんなの無くて、利己的・利他的の配分なだけなんだよな。そんな簡単でも楽でもないよ、と苦しくなった。
「本当のことを話してくれ」と言いながら自分の望む言葉しかハナから聞く気がなかったり、「話し合おう」と言いながら相手の話は受け入れずに自分の意見を通すだけだったり、世の中そんなことばっかだからな。
劇中で一度もBGMが流れなかった。過度な演出とか音楽で心情を表したりせず、役者の演技とカメラワークだけで魅せるのがすごかった。そのあたりが余計に"リアル感"が増したのかも。
松坂桃李が「追い込まれた登場人物に最後にちょっとだけ投げ込まれる救いが、今まで受けた分にはとてもじゃないけど割りに合わないのに、それが妙に沁みる」とYouTubeの動画で言っていた。その言葉に尽きる。
野村麻純さん久々に観れて嬉しかった！個人的にはいちばん印象的な演技だった。
