足拭き猫

空白の足拭き猫のレビュー・感想・評価

空白(2021年製作の映画)
3.3
謝るということは、赦すとはどういうことなのか。

謝る時、言い訳をするとこじらせる原因に。しかし、ごめんなさいを言われれば謝られた方は一応は満足するのかもしれないが、謝った側に不満があるのは見え透いているので、古田新太が吐き出したようにモヤモヤする気持ちが残る。相手の気持ちを理解するには想像力で補完するのだろう、しかしそれは心底謝っていることになるんだろうか。でも、あなた=私であるということはまずない訳で、だとしたらやっぱり相手のことを理解する努力が必要なんだよね、とまとまりなく考えることに。

そこに至るまでに脚本・演出がステレオタイプで、マスコミによって作られたイメージが主題なのかと思うもいつの間にかマスコミはいなくなり、スーパーの店長、父親、慕う若者、先生などぶつ切れなエピソードにこれはどうやって収束させるんだろうかと心配に。父親が事故現場の様子を知るのも後半だし、争点だったわりにはスーパーの控室での説明が「何もなかったんですよ」以外に一切出てこず中途半端。
ひたすら怒りをぶちまけてる古田新太を見てて「疲れたな~」というセリフがまんま自分に返ってきた。あと、カニの水揚げであんなに立派な一軒家に住めるのかな。

学校が外づらは誠実であるように見えて真実を解明する気はないとか、先生はなんか悪いことをしたなと疑問を持つもそこ止まり、視野の狭い正義感だけの人など今の日本という国の過去への向き合い方や国民の風潮まんまではある。が、、脚本を勉強したことがない素人が言うのは恐れ多いが、型通りの描き方ゆえ頭で考えて書きましたという浅い描写が多かった印象。
片岡礼子の言葉、台詞回し、表情の説得力がなかったらとっ散らかってただろう。娘のことをわかろうとする時間の描写の方が、自分にとっては大事だった。