Kenjo

空白のKenjoのレビュー・感想・評価

空白(2021年製作の映画)
4.1
娘を事故で失った父とその事件に関して責任があると思われるスーパーの店長、そしてそれを取り巻く人間関係とメディアの話。

この映画の副題には"intolerance"とある。不寛容という意味の英単語。
主題となる空白とはおそらく、娘・花音の死のことである。

花音はスーパーの店員に万引きの疑いをかけられ、逃げている途中、道路に飛び出し轢かれて死んでしまう。
父を演じる古田新太は娘の死と向き合えないまま、怒りの矛先を松坂桃李演じるスーパーの店長に向ける。

そこにメディアも介入すると、2人とも悪者のように扱われる。

一方は喪失感、もう一方は罪悪感という心の中に空白の感情を抱えたまま過ごす2人はどのようにして先に進むのだろうかというのがこの映画の主題なんだと思う。

邦画にしてはずっと暗くて笑えるシーンとかほとんどなく、現実をリアルに切り取ろうとしてるところがすごく好感持てた。

スーパーのおばちゃんみたいなお節介な人いるよねーって思いながら見てた。
何もしない方がよっぽどマシなレベルで介入してくる人、、

自分の生きてる時間を人を不幸にする方向に使うことが自分には全く理解できないし、そんな無駄な時間あるなら自分が幸せになるために使えばいいのになって思う。相対的に幸せになっても絶対的な幸福が一緒なら虚しいだけちゃうって思っちゃう。
でもコロナ禍を通してそういう人たちがいるってことは割と身をもって感じたから、スーパーの店長に対する酷い行為は割とリアルなのかなあと思えるようになった。
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