★心にぽっかりあいた"空白"を埋めるために、人は狂い始める。
しんどい映画だが、人の孤独に寄り添そうと思わされる、優しい映画でもあった。
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「疲れたなぁ…」と終盤シーンの古田新太の言葉に集約されるように、見ていてとっても疲れる映画だった。
映画タイトルである『空白』は、淋しさや孤独を意味している。それを埋めるために(つまり個人的な孤独を紛らわせるために)、娘を亡くした父は暴走する。
彼だけでなく、ほかの登場人物も同じだ。ベクトルは違えど孤独から目を逸らすために必死で、ひたらすらどうしようもないことをやっている。
しかしそれを見て他人事に思えなかったのは、自分の中にも"空白"があったから。自分も彼ら彼女らと同様の行動をした経験があったから。
そう思うと、たとえ誰かの苛立ちを無意味にぶつけられたとしても、受け流せるだろう。そしてもしかしたら寄り添えるかもしれない。その人は孤独だからこんなことをしてしまったのだと理解できるかもしれない。「自分で良ければ話でも聞こうか?」と言えるくらいの器を持ちたい。