Matthew

空白のMatthewのレビュー・感想・評価

空白(2021年製作の映画)
3.7
被害者遺族と罪のない加害者の話

始まり方、カッコよすぎる。UKバンドの1曲目みたいな抽象的なサウンド、大好き、と思っていたら普通にここ最近観た中で一番胸糞で、割と観たのを後悔しました。ただ邦画らしいシナリオで、なるほど確かに高評価だと感じました。大事なところは、見たいところは、知りたいところは全部空白。残された人も、去った人も全て空白。折り合いつけてくしかないよね、って単純かつ永遠の真理。

娘がヘルプサイン出してた中、全く相手にしてなかったのに、死んだ途端学校に訴えを起こし、証拠を出せ、ooなわけがないの一点張り。責任逃れの教師、視聴率至上主義のメディア。出てくる人々、全て胸糞。正しい人間が損をし、誤った人間が得をする世界は本当に見てられないです。と思うけど、実際店長が何かしたかもしれないし、本当にいじめは無かったのかもしれないし、実は制限速度以上で前方不注意だったかもしれないし、結局100%こいつが悪い、とか誰々が可哀想って断言できない空白も胸糞。

ただやはり、父親はとても胸糞。結局こういう人が世の中を謳歌できてる点が、この映画の胸糞の根幹ですよね。こんな奴いねーよ、ならフィクションで終わり!な話なんですよね。ムスカを見ててもイライラしないのはこの世にあんな奴いないからです。社会の中では、証拠を出せ、〜する訳ない、謝罪しろ、ともう言ったもん勝ちの状態。結局良識を持つ人が損する世界が本当に嫌で、僕は今キラが現れたら、信者になっていると思います。素人の戯言ですけど、いかなる罪も厳罰化したら、それ自体が抑止力になると思うんですが… あと性悪説を前提としたジーマクレジットが目下一番最適なシステムだと思うんですが、日本では基本的人権の侵害だなんだで、100%無理でしょうね、監視社会と共産党独裁だからこそできるディストピアなサービス。僕の中では間違いなくユートピアですよ。日本にもジーマクレジットが導入される日を夢見て寝ます。

※ジーマクレジット…アリババ系列の保険会社が提供してるサービスで、ユーザーに信用スコアを付け、高得点のユーザーに優遇を与えるサービス。
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