"心にできた空白に、人々はどうやって折り合いをつけるのだろう。"
人生には、真実も嘘も、許せることも許せないこともあるけれど、明確な"正しさ"はどこへ行っても見つからない。
先の見えない世界で白黒つけられないものへの向き合い方を探す、孤独な道程。
これは観終わったあと、しばらくぼーっとなりますね…!
松坂桃李や古田新太のそこにいる生活感が圧倒的なリアリティを生んでいて、陰鬱とした空気と閉塞感に胸をギュッと掴まれて呼吸が浅くなります…!
目を逸らす者。
押しつぶされる者。
逃げだす者。
向き合う者。
この件に関わる1番の当事者の不在ゆえに、気持ちの折り合いをつけられなくなってしまた人々の苦悩が重すぎる…!
どれが良い悪いはなくて、少女の死に対するそれぞれの向き合い方が身に沁みたけれど、事故を起こした娘の母親の言葉が一番心に残ります。
どれだけ悔しかったか。
どれだけやりきれなかったか。
絞り出した言葉の重みに胸が潰されます。
ここまで負の連鎖が広がってしまったのは、皆が失ったものではなくて残された状況ばかりに目を向けてしまったことが原因なのかな。
ぽっかり空いてしまった空白を埋められるのは、もともとそこにあったものだけで、
下手に他のもので取り繕おうとすると、かえって空白が大きくなってしまうのかも知れません。
空白に目を向けた希望の見えるラストシーンも素晴らしかったです✨