空白のぴょん吉のネタバレレビュー・内容・結末

観終わった後の余韻がすごい。
まず娘が事故死する映像がびっくりするくらい酷。そして、モンスターにしか見えない古田新太演ずる父親の姿。この強烈なスタートから、娘の学校関係者、スーパー店長松坂桃李、最初に娘をはねてしまった気の毒な女性…と次々に父親に追い詰められていく。ズタボロになりつつ気力で日々を送る松坂桃李の演技は圧巻。正しいか正しくないか、一見優しいように見えてその正義をふりかざす行為が気色悪さしか感じない寺島しのぶ。
重苦しく暗い時間が延々と続くのか…と嫌気がさし始めた時に物語が動く。自殺した女性の母親の真摯な謝罪。（片岡礼子の感情を抑えた演技が素晴らしかった）モンスター古田新太の心の変化。娘のアルバムを見、娘の描いた絵を見、娘の読んでいた漫画に目を通し初めて自分の娘に向き合おうとする。スーパーも閉め道路工事の誘導員で食い繋いでいる松坂桃李にも僅かだが明るい未来が見える。映画のエンディング、それがやっと彼らのスタートライン（父親の娘を失った本当の悲しみ、懺悔の始まり）なのではないかと思えた作品だった。