みんなどうやって折り合いをつけてるんだろうな…？
視聴者は超視点的にそれぞれの登場人物の真実を観れるからこの作品を見ても、何とか心の折り合いを付けれるけど、もしこの話の当事者だったら、それぞれの視点を超えられないから折り合いなんてなかなか付けれなそうだ。
マスコミが自分たちの都合がいいように事実の一部分だけを切り取って報道するように、この作品の登場人物たちも、断片的な情報を自分の都合が良いように解釈するもんだ。
父親が娘の死に対してあれだけ暴れ散らしたのは、自分自身が娘と全然向き合ってこなかった、娘のことを何にも知らなかったことに折り合いがつけられないからだったんだろうな。
娘のことを知ろうとすればするほど、自分の知らない娘の一面が見えて来て、一方的な思い違いであることが多くて、いじめの有無や万引きをしたかどうかが冷静に見えてくる。
決定的に充の考えが変わったタイミングは、加害者のドライバーの女性が自殺し、その通夜に充が行くシーンだったと思う。
絶対に謝罪なんかしないスタンスで臨んだ充に対し、娘を許してやってほしいと伝えるその母。普通だったら自殺まで追い込んだ充を責めてしまうようなところだが、娘のことをよく理解している母だからこそ、不可避に近かった交通事故に責任を感じた真面目な娘を許して欲しいという言葉や感情が出てくるのだと思った。
寺島しのぶが演じるスーパーの女性も、俯瞰的に見れば痛い女性だけど、普通に世の中に存在するし、状況によってはこういう人がいることで助かることも結構ある気がする。自分も同じようなことしてないか、不安になる部分もあるけど。
藤原季節も相変わらず良かったなぁ。チャラいけど根は真面目な役を見事演じてました。松坂桃李はここ最近演技派の地位を確立してきてる感じがするし、古田新太はさすがとしか言いようがないほど嫌なおじさんの役でした。伊東蒼も始めの少しの登場だったが、存在感のある演技でした。今後の出演作品が楽しみ。
自分の子供が本当はどんなことを考えているのかなかなか分からないけど、知ろうと努力することは大切なんだなと思った。当たり前だと思うんだけどなかなか難しい。
