空白の作品情報・感想・評価

「空白」に投稿された感想・評価

始めから終わりまで、ずっとしんどい。胃がキリキリするような重苦しい空気がつらい。つまりは大成功している。
吉田恵輔監督作品は「かけあいの巧さ」が特長的だったけど、前作の『BLUE』から「深み」が増してきて、本作ではまた新境地の開拓に成功していた。
キャストの演技も本当によかったけど(特に主演の2人)、台詞や演出が非常に丁寧で、展開がとても説得力があり、なめらかで気持ちがいい。
おすすめです。
映画「空白」鑑賞
取り返しのつかない事が起きたとき、人はどう折り合いを付けるのか。今ある平穏は紙一重のところで崩れてしまう。正しさでは人間の「弱さ」は救えないし、寄り添う事すらできないのか。登場人物のどこかに「もしも」の自分がいて、怖さとともに傍観者でいられる今に安堵する。

圧巻の古田新太劇場である。彼が主演で良かった。この人物を、ここまで魅力的に見せれるのは、日本では間違いなく彼なんじゃないかとおもう!
空っぽの世界に、光はあるか。
「みんなどうやって折り合いつけてるのかな」
古田新太演じる添田が終盤言う台詞。ショッキングな出来事から、各人物が現実に折り合いをつける物語なのかもしれない。

ずっと険しい顔一辺倒だった添田が、加害者である女性運転手が亡くなった後から、眉間にシワを寄せなくなった。自分もまた加害者になってしまったと思い呆然としたこともあるだろう。

その後から、娘に向き合い、娘が好きなものを追体験して癒されていく。

同時期に松坂桃李演じる青柳も、またいつもの冷やかしかと思っていた男性からの心のこもった声掛けに、許された感覚を覚えたと思う。

とてつもなく重たいストーリーだが、ラスト、それぞれ一歩前に進む姿に光を見た。
学校にも居場所はない、正義押し付けパート、唐揚げ入ってない弁当

どうして人間は素直になれないんだろうね、とりあえず父親として嫌いだわ

このレビューはネタバレを含みます

途中のお葬式のシーンからはっきりと変わっていくことが感じられるところで涙が止まらなかったな
おにこ

おにこの感想・評価

3.9

このレビューはネタバレを含みます

添田へのイライラがつのってしょうがない。花音を追い詰め、青柳を追い詰め、はねてしまった女性を追い詰め、不幸の連鎖の根源でないか!
と思ったけど。
添田自身もどこかの連鎖の末に生まれてしまった悲しきモンスターかと思うと、やるせない。
けど、けど…終盤、ずっと素直になれなかった本音が表に出てくるようになっても、やっぱり添田を好きになれない。
空白とは、なんだったんだろう。
添田が向き合ってこなかった時間?
手当たり次第に怒りや悲しみをぶつけた時間?
花音を失って生きるこれからの時間?

唯一の希望の光、癒しだったのは弟子の若者。師匠の不器用さをわかってて、拒絶されても戻ってくる。これぞ海の男や。

記憶に残るシーン①
花音がリボンのお花を作るシーン。誰にもSOS出せないから、ただひたすら馬鹿丁寧にやるしかないんだよね。きっと頭の中、わかりきってる工程を反芻してるんだよなぁ。
記憶に残るシーン②
地面にこぼれたカレーをオバちゃんがチリトリですくうシーン。どさくさに紛れて青柳にキスしたシーンと迷ったけど、こっちの方が更に生々しくて、強烈だった。チリトリですくうというのが日常で起こらないからなのかな。カレーの粘度が、オバちゃんの粘着性に重なって、おぞましさが凄い。
記憶に残るシーン③
特製弁当に唐揚げが入ってなくてブチ切れシーン。表面張力ギリギリの人が、ぷつん、といっちゃうのって、こういう時なんだよなぁ。
誰もが被害者でもあり、加害者でもある。見てて辛かったけどモナリザのシーンは笑ったねー。

このレビューはネタバレを含みます

ずーっと心が痛いチクチクと、心に棘が刺さっていくように、ピリピリとした空気感が流れている感覚。疲れます、苦しいです。

この作品の登場人物のほとんどが、自分の感情を一方通行に押し付けている、そのような感じがした。でもその感情や行動に正しさも、間違いもあって、一言にそれは正しい、それは違う、とは言えないことが内包されているから、私はグルグル悩んでしまう、難しい問題だなと感じた。

「頑張っているのに頑張っているように見られない、そんな子もいるんじゃないかと思うんです」
「それを今更言うのはズルイよ」
ここにハッとさせられた

報道陣の対応が酷すぎた。そのままを伝えるのではなく、どちらかに印象が傾いてしまう報道のやり方。でも自分たちの知らないところで情報操作のようなものは行われているかもしれない…そう思うと何を信じていいかわからないよな

古田新太さんの頑固で自分の思う通りにならないものは問答無用で許さない、厳格な父親はさすが古田新太さん

「自分の娘が事故あって死んでしまった」その事実に、自分の考えに執着しすぎて周りの事は聞かずモンスター化していく様は見事

自分の娘のことを本当はよく知らなかった事に、離婚した妻から指摘され初めて気づき、そこから自分の娘のことを知ろうと、娘が好きだったものなどに触れて行き、少しずつ知ろうとするその姿勢が微笑ましくも、どこか悲しげ…

ラストの、印象に残っていて描いたイルカ雲の風景画が、娘が描いていた風景画と同じ風景が描かれていたと知り涙を流すシーン
その時の涙

松坂桃李さんは気弱で自分の主張がない。ハッキリしない、正直頼れるのか?と思う店長。

最後に、スーパー無くなって残念です、やきとり弁当好きだったんですよ。また開いたらやきとり弁当作ってくださいね。と声をかけられた、その時に、少しでも生きていてよかったなと思えていればいいな

添田に攻められ追い詰められ、弁当屋に電話した際に、添田が乗り移ったように、人が変わったようにブチキレる、その青柳が限界点を超えた演技、そこから自分の言った暴言に対して店員に謝る、本来青柳が持ってる優しさや真面目さを伝える演技、その温度差、素晴らしいです

追い詰められ自殺未遂するに至るまでの演技、この前見た孤狼の血日岡と全然違う

片岡礼子さん演じる最初に自動車で衝突してしまう女性の母親が素晴らしすぎる
「気の弱い娘になってしまったのは、親である私の責任」…娘を亡くしたはずなのに…グッと来ました

どこまでもリアルで、本当にこういう人いそう、いるよなこういう人、と感じられる。リアルであるが故に、心に刺さって考えさせられる作品だと思います
大不幸続きの中で小幸持ってこられて爆泣きした
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