幼い頃から親と一緒に体験した文化や伝統は自然と刷り込まれるのだろうが、多感な少年期に初めて見えた信仰や慣習は果たして受け入れられるのだろうか。フィクションだからこそテーマが明確になり強く訴えかけてくるのだとも思う。
自身のアイデンティティでもあるアイヌを疎ましく感じる現代の少年の自然な気持ちや山場から終盤にかけての成長・変容が、台詞ではなく映像で表現されていて素晴らしい。
私たちは道徳的見地から今までにも幾多の地域文化や信仰を葬ってきたのかも知れない。観光で阿寒湖を訪れたことはあっても何も知らず学ばずに自分は過ごしてきたのだと思い知らされた。とても考えさせられた。