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青くて痛くて脆いのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

青くて痛くて脆い(2020年製作の映画)
4.6
人付き合いが苦手な大学生・田端楓(吉沢亮)と、空気の読めない発言ばかりで周囲から浮きまくっている秋好寿乃(杉咲花)は、「世界を変える」という大それた目標を掲げる秘密結社サークル・モアイを作る。
だが、秋好は“この世界”からいなくなってしまう。
秋好の存在がなくなったモアイは、社会人とのコネ作りや企業への媚売りを目的とした意識高い系就活サークルに成り下がる。
取り残された楓は、怒りや憎しみといった歪んだ感情が暴走し、どんな手を使ってでもモアイを潰そうとする。秋好が叶えたかった夢を取り戻すために、楓は親友や後輩と手を組み、モアイ奪還計画を企む……。
住野よるの同名小説を映画化。
「君の膵臓をたべたい」が大ヒットし過ぎて「純愛の極み」のようにもてはやされ過ぎて嫌いになりそうになった経験から、作者の住野よるがヒントを得て書いた作品なだけに、「君の膵臓をたべたい」と表裏一体の感じを受けた。
「キミスイ」の「ぼく」も、この作品の楓は、それぞれの理由で人付き合いが苦手で人と関わらないようにしているが、どこかで理解してくれる人を求めている。
「キミスイ」の桜良の前向きさとこの作品の秋好の理想家のところに共通する、世界に対するポジティブさ。
ただ、すれ違ったり衝突した時に、ちゃんと向き合って勘違いやすれ違いを修正したり、自分の気持ちをぶつけられるかどうかで、明暗が別れてしまう脆さと切なさがある。
楓や秋好と関わるモアイのリーダー格テン(清水尋也)や楓の後輩のポンちゃん(松本穂香)のように、人から見えている面と他の人が知る面がある多面的なキャラクターによって、人の真意は表面からだけでは、一概に分からない複雑さが原因で友情が壊れてしまう蒼さと脆さが、思春期ならではのイタさがある。
吉沢亮や松本穂香や清水尋也や森七菜の演技が、リアルで最高な青春サスペンス映画。
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