参鶏湯と三層肉

ミッドサマー ディレクターズカット版の参鶏湯と三層肉のネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

「残ったものは、ミッドサマー」

〜〜〜

何を削り、何を残すか。
普段原稿を書いていると、いつもブチあたる。私はダラダラ書いてしまう癖があって、それを新人の頃からずっっっっっと指導され続けているのに直らない。だって、書きたい事があるんですもの。
このDC版は、そんな私に「削ることの意味」を教えてくれた。

結論から言うと、通常版のミッドサマーの方が良かった。

通常版を見た上でDC版を観れば「ここが追加されたのか〜」「あ、間にこの経緯あだたのか〜」などとミッドサマーのファン視点で楽しめるが、DC版を初めに観ていたら、「祝祭」感が減る気がした。
クリスチャンがダニーを疎ましく思っているのはあそこまでケンカさせなくても分かる事だし、ジョシュとの言い争いも間延びしてしまう。何よりも「白夜」での惨劇と因習を描く作品で、DC版のあの川辺でのシーンは明らかに浮いていた。
いや、楽しい。楽しいんだよDC版。120%楽しんだのは確かなのだが、はじめてミッドサマーを観た時の、ホルガの祝祭を追体験するあの感覚は、圧倒的に通常版が大きい。

パンフレットなのか何で見たのか忘れたが、アリ・アスター監督は色々カットしたの苦渋の選択っぽかったけど、これで正解だったと思う。そう言われると監督もショックかもしれないが。

「何でもかんでも書いたら、伝えたい事が分からなくなる」。先輩のこの言葉、胸に刻みます。(今更)


上記とはまっっったく話変わるが、DC版ではモザイクを消していた事に誠意を感じた。