極楽蝶

街の灯の極楽蝶のレビュー・感想・評価

街の灯(1931年製作の映画)
5.0
不朽の名作!! 僕の大好きな映画のひとつ。前回観たのは確か数年前、すみだトリフォニーホールでの生演奏での上映会だったなぁ。
感動的なラストシーンがあまりにも有名ですねぇ!! 目が見えるようになった花売りの娘さんがチャップリンの手の感触で彼が恩人であったことを知る。「Yes,I can see now.」は単に”目”が見えますわ、と言うだけでなく、”心の目”も見えていますわ、なのじゃないかなぁと感じますねぇ!!
このラストシーンで僕が特に注目したいのは、目が見えようになり花屋を構えるようにまでなった娘が店の掃除で花や葉をほうきで道路に掃き出す場面! 冒頭で彼女が街頭で慎ましく花を売っていた時には、道に落とした一輪の花も拾上げようと探す場面とは対照的ですねぇ! そして、どちらも場面でも、それらの花を拾うのは貧しいチャップリン! 二人の境遇の違いを暗喩的に見事に描いていますねぇ!! さらに、目が見えるようになった娘が、単にチャップリンに一輪の花を渡し、その手の感覚で恩人であることを悟るだけでなく、彼女が彼にコインを恵もうとして彼の手を握ること!! その彼女の手は、目の手術の大金を手渡された手なんだよねぇ!! ここにコインを小道具で使っているところがここ憎いですねぇ!!
花売りの娘が、目が見えるようになった時、高級車で現れた紳士を恩人であると思うのも、高級車のドアの音だよねぇ。冒頭でチャップリンが逃げていて、タクシーの右から左に出てきて彼女に出会うシーンと呼応していますねぇ(笑)
クライマックスで花売りの娘に再会する前、新聞売りの少年たちに意地悪をされてたチャップリンの表情と態度にも注目! 「お前ら覚えておけよぉ!!」というような感じのチャップリンが、娘と再会し、目が見えるようになった時の嬉しそうな表情とラストでアップなる表情とが最高にステキです!! 娘に見とれるようなチャップリンに娘は、彼が自分に一目惚れしたと思っているけど、チャップリンは彼女の目が見えるようになったことを知り心の底から喜んでいるんだろうねぇ!!
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