sonozy

海を待ちながらのsonozyのレビュー・感想・評価

海を待ちながら(2012年製作の映画)
3.5
中央アジア・タジキスタンのバフティヤル・フドイナザーロフ監督の遺作。

陽気な船長マラットは、ある日、嵐が来るから3日間は海に出ては行けないという忠告を無視し出港。
マラットの妻ダリが懇願して乗船し、ダリの妹タマラも行きたがるが家に戻される。
だが、無謀な航海はすぐに巨大な嵐に襲われ、一人流れ着いたマラットだけが生き残る。

数年後、刑期を終えたマラットが村に戻る列車の食堂車。
ウエイトレスをしている美しく成長したタマラがマラットを見つけ接近する。

戻った村では、海が干上がった荒野に残った村人たちが暮らしていた。
村で歓迎されるはずのないマラット。
彼の海、船、ダリを取り戻すという強い思いを軸に、タマラのマラットへの熱愛、ダリを失ったタマラの父の複雑な感情が絡みつつ、寓話的な要素も感じる作品。

マラットの唯一のサポーター的存在、旧友バルタザールと、その息子で悪党一味のリーダー・ヤサン。
何度か登場する白い鳩、ヤサンが持つ曽祖父の使っていたGhaychakという弦楽器。

マラット役とタマラ役の直情的な二人が特にいい。
タマラの父の死の迎え方も印象深かった。

『ルナ・パパ』『コシュ・バ・コシュ』の4Kレストア版上映も観にいかねば。
sonozy

sonozy