飲み込み、吐き出し、「私」になる…
2021年一発目の劇場観賞作品!
ヘイリー・ベネットが主演を務め、異食症を患った女性を描く。
異食症や精神疾患への恐怖が募るスリラー映画の側面も持ちつつ、最後は彼女の再起を促すヒューマンドラマのような部分もあり、一つの視点から評価しづらい。
何故、最後に彼女はあぁいう行動を取ったのか?や、ほんまにあれがきっかけで治療に専念できるようになったのか?や、順調に治療が進んでいるのか?や、気になるところが山積したまま終わっていき、こちらも飲んだものがずっとお腹の中にいるような感じになる。
結婚と出産、それに伴う周りからの重圧。
自分が自分でなくなるのを、分かっていながらやめられない衝動。ただ、その行動は「自分」が自分であるから取っていることで、決して異常ではない。
まさに飲み込むことで、彼女の「リセット」が図られるようでした。
妊娠・出産を経験する女性の発病が多いそうですが、決して他人事とは思わず、パートナーを頭ごなしに否定してはいけないと実感しました。
他に気になるところは、途中で出てくるシリア移民の看護師。病む暇すらない戦争を経験した彼が、カウンセラー以上に彼女の再起を手伝っており、むしろ移民の彼こそ、戦争で何かを失った経験があったのでは?と勘繰ってしまう。
どうも他意のないキャラクターには思えないですね。
また、女性は子どもを産むものというステレオタイプな考えや、レイプという犯罪に対して人が抱く印象など、人が病むに至る経緯が割と丁寧に描かれてたように思います。
そんな中で、中絶をしてはいけないという敬虔な思想すらも、ステレオタイプなんじゃないかと、レイプの加害者だけが、その子に影響を与えるんじゃなく、産んだというその事実だけでも、子を苦しめることになるのだというところも感じました。
映像としては、すこしグロめで、人が異物を飲み込む様ってあんな見てられへんくなるんやと思った。土くらいなら良いけど、鉄製の鋭利なモノはやめて欲しいし、排泄物からカセキホリダーするのもやめてほしい。
ヘイリー・ベネットは、色々な方面で体を張れる女優さんですね。
まぁ間違いなく元旦から観るような映画ではなかったです☺️
2021年劇場観賞1作目