TERUTERU

Swallow/スワロウのTERUTERUのネタバレレビュー・内容・結末

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます


[ Swallow / スワロウ ]


 -飲み込むのは欲望か、偽りの自分を飲み込むか-


 『スワロウ』意味は『飲み込む』。
人が欲望を満たす姿を美しく描く今作。人が物を欲するのは自由。欲する対象もまた人それぞれ自由。だが越えてはならない一線あり。危険性が伴うから、だが偽りの自分を飲み込むことは出来ない。

「異食症」異物を飲み込み欲を満たす症状。そんな症状がある事に驚愕だが、映画にて彼女が異物を飲み込まなければ禁断症状を起こすのは麻薬をやっているのと何ら変わらないのだろう。物が違うだけなのだと。欲の衝動が度を越える事でその危険の対価は等しいものなのだろう。

 そして彼女の「異食症」が特別すぎて周りの欲が薄れても見えるが、出てくる人たち皆欲望を押し付けている。「ハンター」の夫、夫の父母は普通な物事を完璧にこなす妻を欲している。夫の同僚はハグを欲する。ハンターの実の父は性依存。きっと皆様々な欲が存在するのだろう。欲を抱く事は当たり前だろう望むのは自由だから。ただハンター自身思い抱いていたのだろう、なぜ自分の欲は他人に批判されるのか。自分は傷ついても問題ないのに、なぜ殺人や他人を傷つけるような事をしていないのに周りは同じ目で見てくるのか。なぜ他人の欲という名の強制を飲み込まなければならないのか。

 ハンターの実の父にあったのは感動というものではない。彼女にとって辛い現実だ。だがその父の依存している物と彼女の依存している物が同じような物なのか、違う。父に似ているのか、違う。きっと自分の欲の強さ種類を比例してはいけない物なのだと。その欲望に満たすべきか、抗うべきかを考えるべきなのだと。自分にとって後悔するような物なら取り除くべきで、どうなっても構わないのならば満たされるべきなのだと。
 ハンターは今回の件で気付いたのだろう。欲が暴走した自分の近くにいた人がすべて消えていった悲しみを。たとえ偽っていた自分でも認めてくれてくれる存在がいたことに。その境界線を越えない為に彼女は薬を飲む。自分にとっての我慢という良薬を飲み込む決断を。

努力で望む物は報われる。危険に臨む欲へ飲み込まれるな。

2021/No.008
TERUTERU

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