ダイセロス森本

Swallow/スワロウのダイセロス森本のレビュー・感想・評価

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)
3.8
良い精神映画。
すべてを手に入れたような家、車、家族。夫の両親に逆らえない主人公。言葉を発しても、途中で誰かが邪魔をするシーンは胸が痛くなった。
彼女は飲みこむ。何でも、口に入れる。それは目立ちたいからくる行動ではなく、ただ、それをすれば「自分に勝った」ような興奮が味わえるから。
カウンセラーがもっと話を聞いてあげていれば、何か解決策はあったかもしれない。でも、彼女が選んだ道が一番彼女を幸せにしたかもしれない。
自傷に近いこの行為は、はたからみれば頭がおかしくて、みなどうしてそうなったのか理解できない。でも、本人にはそれが唯一の幸せであり、優越感に浸れるものであり、快楽で、自信を持てるものだった。最初に笑うシーンは、それをよく描いている。
素晴らしいのは、何が原因なのかはっきりと、誰も言わない事。しかし私たちにはそれが理解できるし、色々な元凶があることにすぐ、気付く。
精神的な病気は理解が難しいとされているが、こうやって見ていけば、彼女の抱えるものや、なにが彼女をそうさせているのかが理解できる。
ただやみくもに原因を探して、追い詰めたり、おまえはおかしいと怒鳴りつけても、何も起こさないことがわかる。
素晴らしい。

色のセンスも抜群で、家具や彼女の洋服などもとても見ていて面白かった。表情の作り方がとてもうまい女優さんだった。どこかに闇がある。