通りすがりのナポリタン

Swallow/スワロウの通りすがりのナポリタンのレビュー・感想・評価

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)
3.5
異食症という摂食障害の1つを扱った映画、私も過食嘔吐の治療中なのでこのテーマは気になるものがあった。

大企業の息子であるリッチー(オースティン・ストウェル)と結婚したハンター(ヘイリー・ベネット)は大きな家で自由な暮らしをしていた。しかし、義母や義父の自分への態度、夫には完璧な妻でなければいけないなどで締め付けられたような気持ちを常に抱えていた。そしてハンターはリッチーとの子供を妊娠する。リッチーと義母、義父は大喜びするがハンターは浮かない顔だった。そんなある日、家事をしていた時ハンターは小物入れの中にあった小さなガラス玉を見つける。そしておもむろに口に入れガラス玉を飲み込んでしまった・・・

お金持ちの家に嫁いだ女性が抑圧の中で異食症になるというストーリーなのだが、ハンターの内情をしっかりと焦点が当たっていたのでなぜ異食症になったのかがわかりやすくて良かった。ストレスや原因は現在だけではなく過去も関わっていて、その人そのものを考えなくてはいけないと思う。その点で夫やその家族はハンターに寄り添って居るようで寄り添っていない、ハンターの気持ちよりも自分達の周り、そして自分の美しい妻がおかしく変わってしまった事しか考えていなかった。ハンターは画鋲、ガラス玉など普通は食べようとは思わないものを食べることで自分しかできないことをしていると思い抑圧の世界から抜け出していたのかなあ・・・と思う。そしてラストシーンのハンターの決断はどんな形であったとしても彼女の次の道を決めるものだと思った。

ハンター役のヘンリー・ベネットの演技がすごく良かった!ハンターにしかわからない苦悩を静かな美しさと微笑みで表していたのがよかったし、異物を食べた時の恍惚の表情は素晴らしい。でもやっぱり画鋲を食べた時は本当に痛そう・・・
ハンター以外の登場人物がかなり自分勝手に感じてしまったが抑圧を乗り越えていくハンターはある意味この映画1番の自分勝手かも・・・?笑
そしてハンターの過去に関わるクソ野郎が1番ムカつきました笑何様じゃ!

異食症というテーマを深く描いた素晴らしい映画でした!そして相手を理解するという行為は自分への理解へと繋がってしまっていないかを考えなくてはいけないと思った。