かすとり体力

Swallow/スワロウのかすとり体力のレビュー・感想・評価

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)
3.8
なかなかの傑作では。

「異食症」を描く映画ということで、なんとなくキワモノ映画っぽい印象を抱く向きもあるかもしれないが、いやいや全く。
社会構造レベルにまで抽象化可能なテーマと、その中で主人公が何をどう選択していくかというところにまで踏み込んだ、相当に骨太な映画だった。

もうほんとただの感想になっちゃうけど、主人公のハンターを演じるヘイリー・ベネット、可憐さと色気を併せ持ったものすごく魅力的な俳優さんですね。なんか見たことあるなーと思ったら、あのイコライザーの可哀そうな役柄のやつかい!全然印象違って驚いた。

映像も全体的にバキッと系(画面の隅々にまで作り手の意思が透徹されてる系)で、超好み。

あとお話も、丁寧な演出とセットで、主人公が陥る「閉塞と抑鬱、そして異食による解放」のプロセスがすごく手際よく展開されて、95分というコンパクトな仕立ても相まって、非常にスマートな仕上がり。

ただ、ラストのとじ方、これは自分の中でまだどう受け止めるべきかの答えが出せてないんだよなあ。「現実は百も承知だが、せめて物語の中だけでは、その事象にネガティブな意味づけをしてくれるな」という想いと、「いやそれ綺麗ごとでしょ。現実ではその事象がネガティブな意味を持っちゃうことはあるんだから」と心の中でバトルが繰り広げられております。(御覧のとおり、同じことを2つの視点から主張してるだけなので決着がつきにくい)

というところで、私の中の「良い映画」の定義の一つである、人と語り合いたくなる映画、の条件をクリア。

うん、そして何より、普通に面白い映画でした。良きです。
かすとり体力

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