きみどり

Swallow/スワロウのきみどりのレビュー・感想・評価

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)
4.0
ジャケ写&惹句ミスリード。
想像していたようなキワモノ映画では、まったくなかった。

仔羊を屠る冒頭のシーンがまず象徴的。ハンターは夫とその親にしてみれば大人しく可愛い家畜みたいなもので、あの立派なお屋敷も彼女を囲っておく檻にしか見えない。おとぎ話のお菓子の家みたいなインテリアの配色も、ハンターの60年代を思わせるファッションも、物語の内容と相まって禍々しく感じる。
そういえば赤ちゃんのために準備したモビールの人形もやはり羊だった。
そもそも羊って、生け贄になる動物の代表格だし。そうすると、彼女の見張りに立てられたあのおじさんは善き羊飼いだったということなのか…。

“I’m in charge!!!”と言い放ってからの彼女の変化の素晴らしさよ。
そして最後のハンターの選択と、その後の晴れやかな表情を見て一気に弛緩した。肩にガチガチに力を入れて観てたらしい。彼女の未来に幸多かれと願ってやまない。

しかし…わたし、実母が夫婦間のトラブル(かなりエグイの)をそのまま子どもに吐き出してくる人だったので、あんな凄絶な生い立ちを母親から背負わされたハンターの苦悩が我が事とかぶってちょっと辛かったです。
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