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お名前はアドルフ?のodyssのレビュー・感想・評価

お名前はアドルフ?(2018年製作の映画)
3.5
もともとは舞台劇だったとか。それもフランスの。たしかに、フランス人のエスプリの産物かなという気がします。

でも、生まれてくる男の子に「アドルフ」と命名すると・・・という話だから、ドイツ語圏で作るのが正解。実際、この映画もドイツ産だし。だってアドルフは、かのヒトラーのファーストネームだし。

ふつうに見ても理解できる部分もありますが、前半は或る程度教養がないと十全に楽しむことが難しい映画。

偉そうに、と思われるかも知れないけれど、実際そうなんだから。
かく言う私だって100%理解できたわけではありません。
ヨーロッパの知識階級をターゲットにした映画なのだから、その辺の条件は考えておく必要がある。
実際、登場人物は大学教授、その妻の国語教師、クラシック・オーケストラの奏者、舞台女優・・・つまり知的職業人。妻の弟だけは高卒という設定だけど、それにしては(失礼!)物事をよく知っている。

後半はしかし命名から離れたバトルとなる。ここまで来ると、ふつうに楽しめます。でもやや過激かな。

配役では問題の男の子を孕んでいる妊婦アンナの役であるヤニーナ・ウーゼが、ちょっとセクシーな美人。役の上でも舞台女優だから、合っていますね。

ちなみに、こういう問題は日本でもあり得ます。昔、息子に角栄という名をつけた親がいました。命名時点では田中角栄は赤丸急上昇中の政治家で、やがて首相にまで上りつめるのですが、まもなくロッキード事件で失墜し、角栄と名づけられた男の子は学校でいじめられるハメになりました。結局改名してことを解決したようですけれど、時代の人気者の名をつけるのは、考えものだということでしょうね。
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