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お名前はアドルフ?のShinMakitaのレビュー・感想・評価

お名前はアドルフ?(2018年製作の映画)
1.7

小学校の国語教師エリザベトとその夫で大学教授のシュテファン。今日は子供たちを実家に預けて、家で食事会を催す予定である。エリザベトがインド料理の仕込みをするなか、やってきたのはエリザベトの弟トーマスとクラリネット奏者のレネ。レネは孤児で、エリザベト&トーマスの両親に引き取られて一緒に育った仲。シュテファンもエリザベトの幼馴染なので四人とも子供時代からの付き合いなのだ。このたび、トーマスの恋人アンナが妊娠し出産間近となり、前祝いの席というわけである。皆の祝福を受け、エコーで確認した胎児が男であることを明かしたトーマスは、「子供の名前を決めたんだ」と口にする。何とその名はアドルフ。ヒトラーを想起させるため、ドイツ国内で原則命名禁止…ではなく、一応戸籍係が命名意図を確認する名前だ。平和主義者となってヒトラーを超えるほど名を成す人間になってほしいという願いを込めたとトーマスは言うが、シュテファンたちは当然ながら猛反対、大口論に発展してしまう…


「お名前はアドルフ?」

以下、良いネタバレと悪いネタバレがあるんだ


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舞台劇の映画化だそうですが、ピザの配達ナレーションから観客を引き込む導入はとても映画的。口論から本音を露わにしていく会話劇コメディってことで「おとなのけんか」「おとなの事情」と同じ路線。勘違い・すれ違いギャグというアンジャッシュのコントみたいな笑いもあれば予想外のサプライズ告白もあったりでなかなか楽しかったです。シュテファンが口にする「ブリキの太鼓」「帰ってきたヒトラー」などのセンスも良かった。ネオナチ、ゲイ蔑視、学歴差別などキワドイ話題をスパイスにブラックな笑いも含んでいるのがイマっぽいですな。

戦争映画をよく観ていると、実生活には全く役に立たないのにナチ高官の名前に詳しくなってしまうもんです。そんな人は、「トーマスのリスト」のシーンでより楽しめるかも。
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