こころとからだ

5月の花嫁学校のこころとからだのレビュー・感想・評価

5月の花嫁学校(2020年製作の映画)
2.9
フェミニスト版サウンドオブミュージックみたいな感じ。

家政学校に入学した生徒たちメインで、徐々に女性だけがなぜ家事を担わなければいけないのか、みたいな違和感に気づいていくという話かと思いきや、全然違った。

生徒たちにはほとんどフォーカスされず、主演クラスの4人くらいが唯一ちょこちょこ映る感じ。あとは校長と先生といった大人が映る時間の方が長い。

ハリーポッターばりに、生徒たち中心に、いろんな議論や考えるきっかけとなる出来事が起こる、その中で大人たちにも少しずつ変化が、という形で描いてほしかった。

どちらも描いてくれていいが、物語の中心がブレてしまい、結局何が転機となり、気持ちが変わったのかという肝心なところが曖昧すぎてスカッとしない。

結局、最後の良妻なんて存在しない、くそくらえだという主張がしたいところから物語を組み立てたように感じてしまう。メッセージありきなので、そこに達するまでの気持ちの流れや展開は何でもよかったのかもしれない。

無理やり学校に入れられたとしても、やりたくないなら最初から親に相談して断ればいいものを、それなのに言いたいことは言うぞと、男に対してではなく、まず親に言うところから始めよう。

また、入ってからごねられても、義務教育でもないので、早く辞めて帰ればいいのに。良き妻になりたくて入学した周りからしたら、自分の生き方まで批判されているようで迷惑でしかない。

何を感じるかは人それぞれだが、特段ステキ、かつ目の醒めるようなメッセージはなかった。

結局、日本では結婚しても女性がご飯を用意するし、家事洗濯は女性がメインで男性ができるだけ手伝うという感覚がまだまだ染み付いているように思う。

彼のハートを鷲掴みにするモテ飯とか、胃袋をつかむとか、男性が喜ぶ手料理とか、そんな時代錯誤なコンテンツはさすがにもうまずいだろう。

ただ、大事なことは、この先料理は男がつくるということでもなく、家事の割合を完璧に男女半々にすることでもない。どうすれば、本当の意味で平等な関係というものに、お互いが共通の認識で近づけるのか、それぞれ考えてみよう。