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蒲田前奏曲のmiuのレビュー・感想・評価

蒲田前奏曲(2020年製作の映画)
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1話目。湯気が立っているような中川監督の映像はずっと見ていられる。人や物、場所への愛情が滲み出ているみたいで。古川琴音ちゃん、絵本から出てきたような佇まいが癖になるし、レトロな服がよく似合っていて可愛い。他者を介して自分の存在を知る永遠。

2話目。あの時何も考えずに無敵だと思えていたのは、背負うであろうしがらみをまだ知らなかったから。知っていても、現実味を帯びていなかったから。いつの間にか時間の波に流されて、色んな出会いもあれば変わった価値観も変わらない夢もあるけれど、いつだって自由だよ。

3話目。怒号を上げる瀧内公美さん、、、力強くて繊細で最高。映画監督やプロデューサーの立場を悪用としたセクハラが告発されるようになってきた近年、読んだ記事や被害者の方々の文章を思い出さずにはいられなかった。
憤りどころではないし、加害者が作る加害描写のある映画ってある意味説得力があって吐きそう。そりゃあ自分のしてることだから上手く描けるよね。そういう人に限って自分は違うとか、認識がねじ曲がっていて怖い。長い歴史を振り返ってみれば当然とされてきたことでも、搾取の上に成り立つ芸術なんて許されない。そんなものならいらない。

4話目。他国に比べて映画文化に使われる税金が少ないという現状なんかも雑談で入れつつ、現場の裏側をおかしく描いていてかわいい。ぬいぐるみの名前がクレジットに書いてあって好き。尊敬を持って女優さんという言葉を使うけれど、りこちゃんみたいな未来の女優さんにどうか幸あれ、、
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